AKIRA

 一気に校庭の隅まで来て、ようやく俺は啓介の腕を放した。息を切らしながら、京子も辿り着く。

「か、カト? いったいどうしたの?」

 京子がそう聞くのも無理はない。

「いや、ごめん」

「何だよ説明しろよ、晶」

 お前だよ、お前が急に、俺の、名前を呼ぼうとするから……。

「えっと……二人は、その……知り合い、なの?」

 恐る恐る聞く京子の声が震えてる。

 俺は黙って頷いた。

「そ、そうだったんだ」

「同じ南小、で、知ってた……」

「なに、何の会話? つか、俺も部活行きたかったんだけど?」

 啓介が、痺れを切らしたように苛立って言った。

「ああ、ごめん」

「つか、久しぶりだよな、晶。お前、いつ戻って来てたの? 藤木受けてたのも知らなかったぜ」

 さっきの苛立った声とは打って変わって、啓介は笑顔を零しながら、昔のように俺の肩に腕をまわした。

 ちょ、待て、京子が見てる。

 そう思って、啓介の腕を振りほどく。案の定、京子は泣きそうだ。

「え、なに、何だよ。久しぶりだってのに冷たいな」

 こいつはこういう奴だ。知ってる。
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