AKIRA


「ねぇねぇ、何センチ?」

 まだ聞くか?!

 体育館での整列も、教室での名前順だ。当たり前のように俺の後ろは亜美で、横は……陽だ。

「ねぇ」

 小声でいちいちマジうるせぇ。無視無視。あ、やべ……今度は胃が痛くなってきた。

「ねぇ」

「百六十九だよ、文句ある?」

 俺はいい加減うんざりして、少し後ろ向きかげんに亜美に言った。

「え~七十ないの?」

 あるよ、ある!

 でも少しくらいサバ読んでもいいだろ、気付けよ!



 あ、マジやばい。




 目の前クラクラしてやがる……あれ?




 足が……立ってらんねぇ……。




 遠くに、悲鳴が聞こえた気がする。女の甲高い、声。それと……。





 俺を心配する――……声。



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