AKIRA
うるさいギャラリーから遠いし、集中できる。それに……少しでも、晶の傍にいたいってのも、あるかな。
「ねぇ、代わって」
「はぁ?!」
暫く村井とボレーをしていると、服部がにこやかに、そう言って来た。
「なんでだよ」
俺は代わる気全然ない。つか、絶対に代わらねぇ!
「だって、そこだとアキ、よく見えるし」
やっぱりな、考える事同じってムカつく。誰が代わるか、バカ野郎。
「なぁなぁ」
しつこい。俺はとにかく無視を決め込む。
「おい一年!」
またかよ。
久石先輩のご登場だよ。
「何やってんだよ、お前ら。一年は校庭側行ってろよ」
ったく、面倒くせぇ……でも、先輩に言われたら代わるしかないか。
そう思って、俺は村井に「あっち」と合図する。そのまま、俺は渋々だが久石とコートを代わってやった。でも服部は違う。
「あ、先輩! じゃぁ俺とボレーしましょうよ」
そう言って久石に近付く。久石も今は相手がいなかったらしいから承諾するし……何だよ、俺だけダメなのかよ。
つか、服部はともかく、久石の奴、自分だって女子コートばっか見てんじゃん。ボレーが零れ過ぎですよ。
いったい誰を見てんだよ……そう思い、女子コートを眺め、久石の視線の先を追いかけた。