誠-巡る時、幕末の鐘-
鬼と鬼ごっこ
―――翌日、屯所
「奏? どこですか〜?」
「ここ〜」
奏は鈴という人物を見てから、どこか落ち着かない一夜を過ごしていた。
同室の響にはそれが少し気にかかっていた。
「土方さんにお使いを頼まれたんですけど…まだ道がよく分からなくて」
本当に困っているのだろう。
眉がこれでもかってくらいに下がっている。
(響が困っているなら仕方ない。
土方も別の奴にやらせろよな〜。
……まっ、響に父親を探させる口実だろうから黙っとくけどな)
奏は土方の考えが読めていた。
土方なりに気を使ったんだろうというぐらいには。
「とっとと行って終わらせよう」
「ありがとうございます!!」
響があんまり嬉しそうに言うから、頭を思わずポンポンと叩いてしまった。
すると、それを見ていたのか向こうからいつもの三人がやってきた。