誠-巡る時、幕末の鐘-



「よし、これで終わりました!!」


「じゃあ戻るか」


「はい!!」


「か〜なでっ!! み〜つけた」




奏は後ろから肩に手を回され…抱きしめられた。




「…っ!!! 鈴!!」




その男は昨日見た男…鈴だった。


全く気配を感じさせず、奏の背後を取った。


それだけで相当腕が立つことが伺える。




クスクス




「嬉しいぜ、そんなに驚いてくれて。会えて嬉しいのか?」




鈴が奏の耳元に口を寄せ、そう囁いた。




「や…やめろ」




奏は顔を俯(ウツム)かせた。




クスクス




「どうしてだ? あぁ、恥ずかしいのか?」


「違う!!」




鈴は全く気にした様子がない。


むしろ、奏のそんな様子を面白げに眺めている。



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