誠-巡る時、幕末の鐘-
鈴は響を目がけて刀を振り降ろそうとした。
だが、奏が素早く刀を抜き、響を庇った。
「…っく!! 鈴の相手はこっち」
「無理すんなよな。結構深めにいったのに」
「ならば退(ヒ)け」
「それはできない相談だ」
奏は肩の痛みを堪(コラ)え、刀を握った。
日本刀というものは、他の武器に比べて軽いが、片手だけでは押し負けてしまう。
片方の肩を負傷している奏にとって、この状況は最悪だった。
(肩を怪我をして、なおかつ響を庇いながら相手をできる相手じゃない。
………アレを使うか)
「……響、怪我すんなよ」
「え? きゃあぁぁぁぁっ!!」
奏は本来人間に使うことを許されていない術式を使って、響を屯所まで送った。