誠-巡る時、幕末の鐘-



「…奏ちゃん、どこ行っちゃったのさ?」




それを見た沖田は奏の部屋の前の庭を眺め呟いた。


……その時、屯所の門の辺りが騒がしくなった。




「まったく!! 今度は何だってんだ!!?」




そこへいてもたってもいられず、屯所の門の前でウロウロしていた藤堂が急いで走ってきた。




「土方さん、奏が!! 奏が血塗(マミ)れで帰ってきたっ!!」


「何だと?! 今すぐ良順先生を呼べ!!」


「俺行ってくる!!」




土方の指示に、藤堂はいち早く答え、来た道を引き返した。




「奏はどこだ?!」


「今、島田君が運んで来ています」




普段は無表情の斎藤も、今は表情を固く張り詰めさせている。




「よし!! 俺達も行くぞ!!」


『はい!!』


「私、血どめの布か何かを探してきます!!」


「頼んだぜ!!」


「はい!!」




みんなは奏の部屋へと急いだ。



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