誠-巡る時、幕末の鐘-



「エリオル、駄目。私達に許可証下りてない」


「……そういうミエだって火月(かげつ)抜いてるだろうが」




ミエの手にはエリオルの言う通り、既に自らの愛刀が握られていた。




「これはいついかなる時も気を抜くなという教えを……」


「誰が教えた、誰が」




ミエの言葉にエリオルは呆れながら言った。




「えっと……レオン?」


「本人に聞くぞ」




ミエの命知らずな発言をなんなくかわしたエリオル。



 
「あ〜! やめて! 嘘です!」


「全く……いつも言ってるだろうが。そんなだから……」


「はいはい。分かったから。とにかく戻ってから聞く」




二人の……空気を呼んでないというか脱線しまくりの会話に毒気を抜かれていたみんなは、再び緊張を取り戻した。




「奏は連れて行かせねぇ!」




クスクス




「連れて行かせない? 何故? 星鈴は……奏は私の家族ですよ?」




ミエの瞳は細くなり、口元には僅かな微笑を浮かべている。



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