誠-巡る時、幕末の鐘-



目に見えて冷や汗を滝のようにかき始めたミエを助けるべく、エリオルが口を挟もうとした時……。




(にぎ)やかだな。やはりお前達か」




篁とは違った、そしてそれ以上の神気が舞い降りた。




「お久しゅうございます」


「そなた達も相変わらずそうだな息災(そくさい)か? ……この者達は?」




篁までもが畏まっているので、下手に答えられない土方達は非常に困った。




「ここの主達です。今、うちの奏がお世話になっているので私達が参った次第です」


「そうか。……ここは酷いな。集まってきている」




そう言い、柳眉(りゅうび)を寄せた。




「はい。今、色々と奏に調べてもらっています」


「そうか。……お前は気付かなかったのか?」


「いえ。気付いてはおりましたが……」




篁は言葉を(にご)した。


冥府の官吏も元老院と同じ、基本的には人間のことには干渉できない。


篁の名誉のために言っておけば、職務怠慢(たいまん)では全くない。



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