誠-巡る時、幕末の鐘-
「どうしたの?」
(みんな、顔赤っ!!熱あるんじゃないか?
春とはいえ風邪はひくだろうし)
奏がそう思ったのも無理はない。
なにしろ同性の響ですら赤くしている。
(新八さんは鼻まで押さえてるし。……鼻水?)
『む、無自覚って怖ぇ〜』
(はい?俺まで風邪ひいてるっての?
ひいてないし!!)
「響、風邪明日までに治さないと父親探しいけないぞ?」
「か、風邪?」
まったく見当違いな言葉に、響は苦笑をもらした。
「明日には絶対治りますよ」
父親探しに行けなくなるのは嫌だったので、そう返した。
「じゃあ、みなさん。お休みなさい」
「あぁ、お休み」
「お休み!!」
奏は響を連れて自室へ行った。
「なぁ、なんか態度軟らかくなってるよな?」
「あぁ。嬉しいことじゃないか」
「奏ちゃんもやっと心を開いてきてるんですね」
奏の小さくも自分達への壁がなくなっていくことを喜んでいた土方達だった。