誠-巡る時、幕末の鐘-



「響……逃げるよ!」




ガシッ




(はい。現在、肩を凄い力で掴まれてます!)




「それ……僕が食べるつもりで土方さんが君に頼んだものの中にこっそり書いておいたんだけどな〜?(黒笑)」




(書くなよ。紛らわしいんだよ!

そして、その笑い、怖ぇーよ!)




「それに奏ちゃん、君、豊玉発句集のこといつ知ったの?」


「に、入隊の日に……」


「ふ〜ん。じゃあさっき土方さんに僕が発句集持ってるって濡れ衣着せたの……君?」




沖田の笑みを張りつかせた顔が近づいてきた。




(ぎゃあぁぁっ!)




沖田はより一層笑みを強くした。




「ナンノコトダカワカリマセン。響! 行くぞ!」




奏は急いで響の手をつかみ、脱兎(だっと)のごとく逃げようとしたが、もう遅かった。



< 136 / 972 >

この作品をシェア

pagetop