誠-巡る時、幕末の鐘-



『逃がさないよ(ねぇよ)』



土方もいつの間にか戻ってきていた。




(悪魔+鬼=地獄へいらっしゃ〜い☆

冗談じゃねーよ!!!

鬼は俺、土方さんは人間だってーの!!

悪魔については何も言うまい)




「近藤さーん!! 助けて!!」


「うおっ!! …こらこら二人共、奏君が困っているだろうが」




ニヤリ、ベエ〜ッ!!




奏は近藤さんの背に隠れ、舌を出した。




「こんの!! そこから出てきやがれ!!」


「奏ちゃん? いい加減にしないと…」




(誰が出ていくかぁっ!!!)




「近藤さん、ありがとうございます!! 響、行くぞ!!」


「はい!!」




今度こそ土方の部屋を脱出した二人は、屯所の門を警備していた隊士に、何か大変なことが起きたのかと思わせるに十分だった。




「待ちやがれぇっ!!!」




この時の土方さんの声に、コソコソとどこからか帰ってきた三人組が、命の危機を我が身に感じたのはまた別の話である。



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