誠-巡る時、幕末の鐘-



―――市中




「朝っぱらから疲れた〜!!」


「そんなに言うならよせばいいのに」




響がまっとうなことを苦笑混じりに言った。




「楽しいからな〜」




そう言う奏の顔は、本当に楽しそうである。




「体の方は大丈夫なんですか?」


「大丈夫。主を守って死ぬって決めてるんだから…それ以外の死に方なんていらないしあってはならない」




奏はそれまで浮かべていた笑顔を真剣なものに変えた。




「あいつは…鈴は俺を絶対に殺さない。殺せない」


「良く意味が…」




響は引っ掛かる言葉に首を傾けた。




「響は分からなくてもいいよ。そのまま純粋なままでいられたらそれがいい」




奏は淋しげに笑った。



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