誠-巡る時、幕末の鐘-



「…どうやらもう何かあったようですね。やはり譲れません」


「父様、風戸って?」




響が疑問を口にした。




「風戸は雷焔家と対をなす鬼一族。鈴は風戸の側近だ」


『…っ!!!』




爺の代わりに答えた奏の言葉に、みんなは一様に驚いた。




「さて…どうしたものか」




ミエは考えこむとフッと笑った。




「奏、耳貸して」


「?」




奏は不思議そうにしながらも言う通りにした。




ゴニョゴニョ




「…それをやるんですか?」




奏は心底嫌そうに言った。




「そう。思いっきりよ!!」


『?』




スゥ〜




「…爺、私ここにいないと仕事きちんとできない。お世話になった方々に恩返ししたいし。…ね?お願い」




コテン




奏は手をあわせて首を傾げ、上目遣いをした。




(これ、本当に効くんですかー?)




そう。これをやるようにミエに言われたのだ。




『…っ!!!////』




爺とミエ以外が顔を赤らめた。



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