誠-巡る時、幕末の鐘-
「あぁ…エリオルは怒ると敬語になるんです。普通に怒るより怖いですよね?」
「あ、あぁ。そうだな」
もう、当事者達以外は傍観するに限る。
「そこをどきなさい、鷹。さもなくば遠慮なく切りますよ」
「どいちゃ駄目!! どいたらレオンとこ行きだよ!!」
「お前らは俺を殺す気か!!? 殺す気だろ!!?」
何というか…鷹は一番哀れである。
見てる分には漫才みたいで面白いが。
「ミエ様、そろそろお戻りになった方が。レオン様に見つかりますよ?」
奏は鷹がそろそろ可哀相になってきたので助け船をだした。
「そう言えば…先程レオン様に会った時、“向こうは随分楽しそうな会話をしているね”と笑いながらおっしゃってましたよ?」
エリオルの言葉にミエの動きが止まった。
直後、全身の水分が抜けるんじゃないかという程冷や汗を流し始めた。
「早くしないとどんどん机の上に書類が「帰る!! 帰ります!! じゃあ、みなさん、さようなら!!」
ミエは挨拶もそこそこに、二人の襟元を引っ掴んで帰っていった。