誠-巡る時、幕末の鐘-
桜の下でどんちゃん騒ぎ
―――市中
「ふ〜ぅ」
奏は桜の木の枝に腰掛け、深い溜め息をついた。
「桜は散りゆく時が一番美しい。…天つ風いかで桜を舞散らす伴ひ見るも今は限りよ」
「天上の風よ、どうして桜を舞散らすのか。連れ添って見るのも今となっては、もうこれでおしまいだよ…ですか?」
下の方から声がしたが、誰なのか分かっているので奏は驚きはしなかった。
「そんなところだな。随分久しぶりに作ったから和歌の作り方が怪しい。…隠れてないで出てきたらどうです?」
奏は木の下ではなく、少し離れた植え込みの方を向いて声をかけた。
すると、やはりというかなんというか、土方、沖田、斎藤、永倉、藤堂、原田が出て来た。