誠-巡る時、幕末の鐘-



「ほら〜。やっぱり知られちゃってるじゃないですか」


「うるせぇ!!!」




(土方さん、あなたも煩い)




「どうしたんです? みなさんで夜の巡察…という訳ではないようですね」




何故ならば、永倉、藤堂、原田はそれぞれ酒を手にしていたからだ。




「こ〜んないい晩にはな、月を見ながら夜桜見物に限る!! 風流じゃねぇか!!」


「…夏には蛍。秋には紅葉。冬には雪でも見ながらとでも言うつもりだろう?」




永倉の最もに聞こえそうな言葉も、斎藤の言葉に一刀両断された。




「だーっ!! お前、頭固ぇ〜な!! ほら、お前も飲め!!」




原田が斎藤に酒をつぎ、手渡した。




「左之さん、煩いよ?」




(近所迷惑だろうが)




すると、みんながポカンと口を開けてこちらを見た。




(な、何だよ?)




みんなはみんなで、奏が原田を名前の方で呼んだのでビックリしている。


それも愛称で。



< 155 / 972 >

この作品をシェア

pagetop