誠-巡る時、幕末の鐘-
「ほら〜。やっぱり知られちゃってるじゃないですか」
「うるせぇ!!!」
(土方さん、あなたも煩い)
「どうしたんです? みなさんで夜の巡察…という訳ではないようですね」
何故ならば、永倉、藤堂、原田はそれぞれ酒を手にしていたからだ。
「こ〜んないい晩にはな、月を見ながら夜桜見物に限る!! 風流じゃねぇか!!」
「…夏には蛍。秋には紅葉。冬には雪でも見ながらとでも言うつもりだろう?」
永倉の最もに聞こえそうな言葉も、斎藤の言葉に一刀両断された。
「だーっ!! お前、頭固ぇ〜な!! ほら、お前も飲め!!」
原田が斎藤に酒をつぎ、手渡した。
「左之さん、煩いよ?」
(近所迷惑だろうが)
すると、みんながポカンと口を開けてこちらを見た。
(な、何だよ?)
みんなはみんなで、奏が原田を名前の方で呼んだのでビックリしている。
それも愛称で。