誠-巡る時、幕末の鐘-
「……いいですよ。もう喋って。結界張りましたから」
途端に息を吐き出すみんな。
(息まで止めてたんだ。
……死ぬよ?)
「大丈夫ですか?」
響が心配そうにみんなを見回した。
「あ、あぁ。響は平気なのか?」
「はい」
響は事もなげに答えた。
危害を加えるモノ以外は平気ならしい。
「私達は彼らに近いのに何故怖がる必要があるんですか。…私には人の方がよっぽど恐ろしいと思うんですが?」
奏は口の端を上げた。
「でも奏ちゃんは奏ちゃんでしょ?」
沖田の言葉に奏は目を見開いた。
「……」
「だってここにいる人は誰一人として君らのこと鬼だなんて思っちゃいないもの」
沖田は笑顔で言い切った。
「そう、か」
奏は顔を伏せたと思ったら、次の瞬間には笑顔と共に顔を上げた。