誠-巡る時、幕末の鐘-
「おい。おめぇら二人、何から逃げる時に使うんだ?」
(それはねぇ…)
『土方さんに決まってるじゃないですか』
胸を張る二人、体を震わせる土方。
「よ〜し、てめぇら、そこに座れ。…根性叩き直してやる」
始めは穏やかに言っていたが、最後にはもう鬼よりも鬼らしくなっていた。
カチャリ
土方は刀を抜き、まず沖田を狙ったが何分相手が悪かった。
鬼と剣の天才だ。
「もう、危ないですよ。無粋だなぁ、酒の席で刀振り回すなんて」
軽々と鞘で受けとめられた。
それで怒りが増し、今度は奏を相手にしようとしたが沖田より相手が悪かった。
「奏様に何をするつもりか」
爺が土方よりも早く首に刀を当てていた。
「爺、土方さんも。刀をしまって。酒飲んでる時に刀振り回されちゃ、おちおち飲んでいられやしない」
二人は睨みあった後、刀をしまった。