誠-巡る時、幕末の鐘-



「ずうぇーーーったいに嫌だっ!」



 鷹は限界に挑戦するほどの速さで首を横に振り、拒否の姿勢を全力で示した。


 だがしかし。



「拒否がお前に認められると思う? 今回の事態、もう少し早く対処できたんじゃないの? 誰が一番先に分かるはずだった?」


(もちろん、鷹の責任が大半を占めているよな?

 なのに拒否ってか? ふざけてんのか?

 ……あぁ、死にたいってか?)



 鷹という男は、つくづく哀れな男である。


 よくよく考えてみれば、鷹の主はリュミエール。


 星鈴の主もまた、リュミエール。


 であるからして、立場的には同じだ。


 しかし、鷹はそんなことは考えないらしい。


 言葉使いや態度から誤解されがちだが、とても……そう、素直なのだ。



「あぁ、分かったよ! 行けばいいんだろうが行けば! ……ん? そいつは?」



 今更(いまさら)ながら、鷹の目に少年が映ったようだ。


 鷹の目が細められ、警戒心が(わず)かに顔をのぞかせる。


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