誠-巡る時、幕末の鐘-



「どうしたんですか?」




斎藤が簪を買う所を想像できなかったので、思いきって聞いてみた。




「巡察の帰りに小物屋で見つけた。二つあるから、あんたと響で分けるといい」




そう。簪は二つあった。




「ありがとうございます!! エヘヘ、響とお揃い!! 大事にしますね!!」 


「あぁ」




奏は幹を降りるのももどかしかったのか、飛び降りた。




「爺〜!! 見て見て!! これ、もらったの!! はい、響の分。私とお揃い!!」


「わぁ!! ありがとうございます!!」




奏も響も大喜びだ。




「誰にもらったんです?」


「一君!! ねぇ、早く戻ろう!! 近藤さん達にも見せるんだ!!」


「斎藤さん、ありがとうございます!!」


「あぁ」




響も斎藤に感謝の言葉を伝えた。


みんなは斎藤の意外な行動に驚いた。




「あ〜あ。一君に先越されちゃった」




沖田が肩を竦(スク)めながら言った。



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