誠-巡る時、幕末の鐘-



「一君だとよ? よかったな〜、斎藤」




原田が斎藤の肩に手を回した。




カチャリ




「左之さん? それ、僕に対する当て付け?」




沖田がどす黒い笑みを浮かべ、原田の首に刀を当てた。




「げっ!! 総司、刀収めろ!!」


「総司!! やめねぇか!!」




親友を助けようと、沖田を止めにかかった永倉と藤堂。




「そんなに大きな声出してどうしたの? 新八さん、平助」


『………』




二人の間に沈黙が流れた。




「ねぇ奏ちゃん、僕は誰?」




(何をトチ狂ったこと聞いてんだろ?)




「僕は誰って…沖田さんでしょう? どこかに頭ぶつけました?」




フッ




奏にそう言われた沖田は鼻で笑い、ゆっくりと三人の方に体を戻した。




「三人共、僕に喧嘩売ってるわけ? いいよ、買ってあげるよ」




三人は息を飲んだ。


沖田の顔には笑顔だが、目が全くこれっぽっちも笑っていない、どちらかというと殺意さえ浮かんでいた。



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