誠-巡る時、幕末の鐘-



―――その頃、屯所




「近藤さん!! 見てください!! 一君にもらっちゃいました!!」




近藤達屯所に残っていた者は奏の変化に気付き、驚いたがすぐに笑顔を浮かばせた。




「斎藤君がか? それは珍しいことがあったもんだ」


「響とお揃いなんですよ〜!!」




奏は満面の笑みを浮かばせていた。




「それは良かったですね」


「はいっ!!」




近藤が奏の頭をポンポンと叩くと、奏は一瞬体を固くし、だが嬉しそうにされるがままにしていた。


その時、屯所の門の辺りが騒がしくなった。




「土方君達が戻ってきたようだね」


「よし!! みんなで出迎えに行くか!!」




近藤の言葉に奏は頷き、後についていった。




「お帰りなさい!! みなさん!!」




土方達が玄関から入ってくる瞬間、奏は元気に彼らを迎えた。


土方達は多少面食らっていたが、顔を見合せた。


そして…




『ただいま』




殺伐としたこの壬生浪士組に笑顔が溢れた。



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