誠-巡る時、幕末の鐘-
「これお前にやるよ。せっかく奏ん所の…鷹だったか? …が、俺達にって持って来たんだがな」
土方はチラリと屋根の上を見た。
「美味しそうですね、これ。子供達と頂きますよ」
沖田も土方の真意が分かり、屋根の上の方を見ながら言った。
「あぁ。なんでも奏の主の中で一番料理が上手い奴が作ったらしい」
「へぇ、そうなんですか。食べるのが楽しみだなぁ」
次の瞬間、沖田の横に飛び降りて来た者がいた。
いつもならば沖田も土方も、刀を構えるが、そんな必要は全くなかった。
「俺にも一個ちょうだい!!」
言わずもがな…奏である。