誠-巡る時、幕末の鐘-
「奏はどうだ?」
「え!? あ、そ、そうですね。何度か」
そう言いつつも奏の心の中は…
(うわぁぁぁ〜っ!!! どうしよう!!!
見られてた? そんなはずは!!!)
と、表面に出てるのがこれくらいで済んでいるのが不思議なくらいだ。
「京の人がすっかり怯えきっている。なんでもその女の霊は妖怪と刃を交えていたそうだからな」
「女の霊ですもんね。どんな人だろうなぁ」
「さ、最近物騒になってきましたからねぇ。…おっとそうだ!! いけないいけない。私、近藤さんに呼ばれてるんでした。早く行かないと。じゃあ私はこれで」
奏が足早に立ち去ろうとした時…
「どこ行くんだ?」
土方に止められた。
それも珍しく仏頂面でなく。