誠-巡る時、幕末の鐘-
そうこうしていると、ある社に着いていた。
「ここは土地神の御社か。……おっと? 来た来た!!」
神聖な気配に包まれた社に妖気が溢れた。
神気とは似ても似つかない気配だ。
「飛んで火にいる何とやら…だな。おい!!」
現れたのは一つ目の大きな妖怪だった。
「オマエ、レイノオンナカ?」
「だったらどうした…大人しく連行させてくれるのか?」
(んな訳ないか。
大人しくしてるんなら、私、苦労してないな。
……大人しくしてろよ)
キイッ
何故か、社の戸が開いた。
「ひっ!!」
この悲鳴は一つ目のものでもなければ、もちろん奏のものでもない。
……一人の少年が社の中から出てきたのだ。
ニヤリ
「コイツヲタスケタケレバ、カタナヲステロ」
「……お姉ちゃん…助けて…」
少年が一つ目に人質に取られ、恐怖に顔を歪ませた。
(あんにゃろ〜!!!
コトを面倒にしやがって!!)
「オマエハモウヒツヨウナイ」
一つ目は逃げ切れると踏んだのか、少年を殺そうとした。