誠-巡る時、幕末の鐘-



「…っ!!! ふせて!! 雷華(ライカ)!!!」




ドッシャーン!!!!


バリバリバリ!!!




奏が術を唱えると、一つ目に向かって雷が落ちた。




「グ…グエッ…」




一つ目はそのまま気絶した。


無理もない、雷焔家の娘である奏にとって雷を扱うことなど朝飯前。


その証拠に、近くにいた少年は無傷だ。


人間ならば即死だが、妖怪は妖怪。


それに生きていてもらわなければ困るのだ…奏自身のために。


もし、仮に死なせようものならば……考えただけで恐ろしいレオンの微笑みが待っている。




「お姉ちゃん!!」




それまでうずくまっていた少年がこちらに駆け寄ってきた。




「もう大丈夫だ。…男の子だろ? 泣くな」


「うん」




奏が頭をポンポン叩いてやると、少年はようやく泣き止んだ。



< 182 / 972 >

この作品をシェア

pagetop