誠-巡る時、幕末の鐘-
「…っ!!! ふせて!! 雷華(ライカ)!!!」
ドッシャーン!!!!
バリバリバリ!!!
奏が術を唱えると、一つ目に向かって雷が落ちた。
「グ…グエッ…」
一つ目はそのまま気絶した。
無理もない、雷焔家の娘である奏にとって雷を扱うことなど朝飯前。
その証拠に、近くにいた少年は無傷だ。
人間ならば即死だが、妖怪は妖怪。
それに生きていてもらわなければ困るのだ…奏自身のために。
もし、仮に死なせようものならば……考えただけで恐ろしいレオンの微笑みが待っている。
「お姉ちゃん!!」
それまでうずくまっていた少年がこちらに駆け寄ってきた。
「もう大丈夫だ。…男の子だろ? 泣くな」
「うん」
奏が頭をポンポン叩いてやると、少年はようやく泣き止んだ。