誠-巡る時、幕末の鐘-
「僕、お母さんの病気を治してもらうために、この社までお参りに来てたんだ」
少年はゆっくりと、何故こんな時間にここにいるのかを説明しだした。
今はもう、日が暮れてしばらくたっている。
こんな子供が一人で出歩くような時間ではないはずだ。
「そしたら何だか眠くなっちゃって…」
「社の中で寝てたのか?」
「う、うん…」
(今時の若い奴は…響といいこの子といい…破天荒すぎる)
「どこだ、家は? 送っていってやろう」
「うん!! 僕は栄太(エイタ)。お姉ちゃんは?」
「私は雷焔奏」
(名を教えたけど大丈夫だよな? 子供だし)
「何で女って分かった?」
「? 分かるよ? 全然違うじゃん!!」
(この子…勘鋭いなぁ〜。見習って欲しいものだ)
「だそうですよ? 土方さん達」
『…っ!!!!』
息を飲む気配が分かった。