誠-巡る時、幕末の鐘-
「似たようなもんでしょう? 壬生浪士組だよ。私も仮にね」
『仮じゃねぇよ…』
言葉の綾(アヤ)だよ、綾。
そんなに口揃えて言うなよ。
「壬生浪士組? …ってあの?」
「怖いか?」
「ううん!? かっこいいよ!!」
「かっこ…いい?」
「だって、江戸から京まで来て守ってくれてるんでしょ? あんまりよく言われないけど…でも、僕もお母さんも好きだよ」
途端、曇っていたみんなの顔が綻(ホコロ)んだ。
「そうか、そうか!!」
「フッ。ガキとは言え、嬉しいことを言いやがる」
(土方さんもいつもの仏頂面から、人並みの顔になったよ!!!)