誠-巡る時、幕末の鐘-
「おっと。ではニ番目以降のみなさん、また後で」
「だ〜れが二番目以降だ! 俺達も屯所へ帰るんだからついてってやるよ」
(屯所と反対方向を指差してたのは、私だけの目の錯覚か?
私の目がとうとう悪くなったってか)
「いいえ、結構です」
「副長命令だ!」
「職権乱用ですね。嘆かわしい……」
(壬生浪士組副長ともあろう者が……)
「奏ちゃん? 言うこと聞かないと……発句集のこと土方さんに言っちゃうよ?」
ビックゥッ
「な、何のことでしょうか? 身に覚えが「いいの? 君が水を溢して発句集駄目にしたの、土方さんに言っても」
(あ、あ、あれを見ていたのかー!
そう……あれはつい先日、発句集を読みながらゲラゲラ笑っていたら……。
ほら、よくあるじゃない?
近くに置いておいた湯呑みの水が……ね)