誠-巡る時、幕末の鐘-



「大丈夫です。行くのは少しずつ交代で屯所からですよ」




近藤を納得させなければ、この計画は上手くいかない。


鬼と呼ばれる土方も、近藤には弱いのだ。




「それに…ただ恐がれば恐がるほど、たくさん寄ってきやすくなるということです。負の感情に敏感に反応しますから」




(本人が気づかぬうちに恐怖に溺れる場合も……ね)




ニヤリ




奏は企んでいる感ありありの笑みを見せた。




「なんとなくだが、分かったような気がするんだが…」


「私もです」


「間違っちゃいねーぜ、近藤さんに山南さん」




考えていること丸分かりの奏らしい。




「うふふ。楽しみですね〜」


「そうか?」




楽しみなのは奏一人である。



< 197 / 972 >

この作品をシェア

pagetop