誠-巡る時、幕末の鐘-
「大丈夫です。行くのは少しずつ交代で屯所からですよ」
近藤を納得させなければ、この計画は上手くいかない。
鬼と呼ばれる土方も、近藤には弱いのだ。
「それに…ただ恐がれば恐がるほど、たくさん寄ってきやすくなるということです。負の感情に敏感に反応しますから」
(本人が気づかぬうちに恐怖に溺れる場合も……ね)
ニヤリ
奏は企んでいる感ありありの笑みを見せた。
「なんとなくだが、分かったような気がするんだが…」
「私もです」
「間違っちゃいねーぜ、近藤さんに山南さん」
考えていること丸分かりの奏らしい。
「うふふ。楽しみですね〜」
「そうか?」
楽しみなのは奏一人である。