誠-巡る時、幕末の鐘-
「…そうですか。お疲れ様です」
「…チッ!」
一つ目が舌打ちをしているのを、地獄耳の奏は聞き逃さなかった。
(こいつ……また捕まってやがるよ!!!
馬鹿だろ? 馬鹿だな)
「…逃げられると思うなよ? もうすぐ迎えが来る」
「セッカク、ジユウニナッタトオモッタノニ」
「ふん、束(ツカ)の間の自由だったな」
(私から逃げられると思うなよ?
地獄の果てまで追いかけられるんだからな。
実際にそうしたら冥府の官吏殿にどやされるだろうけど)