誠-巡る時、幕末の鐘-
―――大広間
「さて、みなさん。本日はどうもありがとうございました」
「ん? 何でだ?」
本来なら叩き起こされ、奏の我が儘に振り回された。
十分礼を言われるべきものである。
しかし、奏が入隊してからの暴君ぶりを考えると、自分がしてきたことに謝罪どころか礼など一っつもなかったのだ。
まぁ、先程のように巡察を遅らすといった、自分達平隊士にはできないことをやってくれるが。
まさに飴とムチであることに気付いているだろうか。
「まぁまぁ。それは置いといて、みなさんに再度お願いしたいことがあります」
まだ何かやらせる気かとみんなは構えた。
「悲しいことに私の部屋が無断で開けられました」
一部を除き、一斉に口を開けた、あんぐりと。
(…近藤さんみたいに口に拳突っ込んでやろうか?)