誠-巡る時、幕末の鐘-



奏や、幹部達が去った後…




「おい、誰だよ?! 奏さんの部屋に入った奴!!」


『すみませんっ!!』




先輩隊士にそう言われ、新入隊士が数名頭を下げた。




「あそこには入るなって言ってあっただろうが!!」


「今回、何かあって肝試しをやらされたはずだ…」


「あぁ。でないと基本的に面倒くさがりの奏さんが自分から主導するはずないもんな」




みなさん奏をよくお分かりで…。


まさにその通りです。


でも人間、知らない方が幸せなこともある。


隊士達に真実が伝えられることはなかった。




「しかも、本気だったよな?! 顔は笑顔だったけど目が笑ってなかった」


「あぁ。沖田先生みたいで恐かったもんな」




鬼と同列にされるとは…沖田よ、あなたは何者だ。




「二度はないぞ?!」


『は、はい!! すみませんでした!!』




こうして壬生浪士組、春の肝試し大会は幕を閉じた。



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