誠-巡る時、幕末の鐘-
「まぁ、それは置いといて……来たか。十夜〜!」
扉が開く音もなく、十五、六の少年が既に部屋にいた。
「こんばんは。星鈴」
「こんばんは」
警戒していた土方達は、奏のことを星鈴と呼んだことに警戒を解くことにした。
星鈴の名は、奏のもう一つの名である。
「奏、そいつは?」
土方が刀に当てていた手を下ろし、少年のことを尋ねた。
「元老院第三課副官コリン・ド・ダランベールです。こちらでは榊原十夜と名乗っていますが」
少年……十夜は自ら自己紹介した。
「山南さんや土方さんのような役職ですよ。……上司の代わりに一生懸命頑張っている十夜が私は大好きです」
そう言い、奏は十夜に抱きついた。