誠-巡る時、幕末の鐘-
「どうしたんだ? 凄く良い勝負だったのに」
土方達は風が起きたことに驚きながらも、奏達がやめたことを残念がった。
剣術を極めたい、またそれを生きる糧(カテ)としている彼らにとってこの試合は、最後まで見届けたいほどの打ち合いだったのだ。
「いずれね。でも戻って来いという指示があったから…あの馬鹿め。私の楽しみを」
そう、十夜を呼んだのは、彼の上司、第三課長だった。
第三課長は、元老院三大魔王の一人に数えられている。
書類整理はしないくせに、戦闘になった場合は、我先にと行ってしまう。
ミエにことあるごとにちょっかいを出している男だ。
元老院始まって以来の、強さを持ち、容姿も…残念ながら端麗。
(私の密かに抹殺したい一覧表の堂々の第一位だ。
…トリカブトもヒ素も青酸カリも効かなかったけど。
致死量の千倍いれても、一万倍いれても…。
第六課薬草管理を任されている私としては面目丸潰れ)