誠-巡る時、幕末の鐘-



(…………よし)


「いいか? 一度しか言わないからよく聞け」


(妖から人を守るのも元老院の役目だし。

 目の前の少女をここで放るというのも目覚めが悪い)


「まず、お前を襲った奴、あれは妖だ。それは分かるな?」



 響は首をゆっくりと縦に振った。



「そして、私もさっきの男も人間ではない」


「えぇっ!?」



 響は大きな瞳をさらに見開いて、大声で叫んだ。


 そんな響の口元を、星鈴は慌てて(ふさ)いだ。



「うるさい。静かに」


(もう夜だぞ? 近所迷惑だろうが)


「……」


「恐いか?」



 星鈴は黙りこんだ響を見て、少しだけ顔を(ゆが)めた。


 むやみやたらと恐がられるのは気分がいいものではない。



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