誠-巡る時、幕末の鐘-
奏と栄太が行ってしばらくした後……。
「……奏、何か様子がおかしかったよな?」
「あぁ。……響なら何か知ってるかも」
原田がポリポリとかきながら呟いた言葉に、藤堂が頷いた。
「響〜! どこだ〜?」
永倉も藤堂の言葉を受け、大声で響を探した。
「は〜い! 何ですか?」
屯所の中から響がたすきを外しながら出てきた。
今まで隊士達の朝食の準備をしていたのだ。
隊士達は響が来てくれて大助かりだ。
「奏だけどよ。何か今朝様子が変じゃねぇか?」
永倉の言葉に響も顔を曇らせた。
「夢見が悪かったと言ってました。それに汗もびっしょりで……心配ないって言われたんでそれ以上言えなかったんです」
「そうか」
三人は考えこんだ。
響でさえ聞けなかった。
自分達では絶対に聞き出すことは難しい。
永倉はそう考えた。