誠-巡る時、幕末の鐘-
「いいえ。……いいえ! 恐くはありません。あなたは私を助けて下さいました。命の恩人を恐がるなんてこと、私にはできません!」
響は真剣な顔で言い切った。
「……」
響の力説に、星鈴は僅かに呆気にとられた後、無言のまま俯いた。
今度は響が何事かと慌てる番だった。
「あ、あの……星鈴、さん?」
「ふっ……ふふふ、あはははははっ!」
「え? あれ? えっ?」
いきなりお腹を抱えだして笑いだした星鈴に、響は困惑を隠せないようだ。
ついさっき、近所迷惑だなどと思った奴と同じとは思えない程の爆笑ぶりである。
「あー、面白い。ここで会ったのも何かの縁。俺も父親探しを手伝ってやろう」
(本当に……おかしな娘。
主の、友人や主となった方達以外の人間が大嫌いな私が、な。
……それに、この子自身も人間の気配というより、こちらに近いような?)