誠-巡る時、幕末の鐘-
「奏様……」
「さっさと行け。そして何度も言う」
刀の切っ先を顔の前に上げ、紫翠達の方に突き出した。
「私がいるべき場所はお前達のいる場所ではない。ここか、主のいらっしゃる場所だけだ」
その時
『奏!』
奏達の背後から聞きなれた複数の声が聞こえた。
「君達さぁ、いい加減諦めたら?奏ちゃん行く気さらさらないって分かったでしょ?」
沖田が刀を抜き、構えながら言った。
「人間ごときが何をほざく」
「その人間ごときが奏ちゃんに一緒にいたいって言わせたんだけど?」
「……貴様、言わせておけば」
沖田の言葉に、今まで人を見下すような顔だった紫翠の顔が怒りに変わった。