誠-巡る時、幕末の鐘-
「おい! そのだだもれの力をどうにかしろ! 俺達でさえ少々きついのに人間もいるんだぞ!?」
「始末書書きたい?」
「おっと危ない危ない」
元老院第四課長、第五課長に怒鳴られ、やっと周囲の様子に気付き、ミエは力を抑えた。
「ミエ。戻ったら話があります」
「……はい」
エリオルも怒った時に使われる敬語が出た。
ミエはもう小さくなるしかない。
「ローゼンクロイツ・天宮の末姫か。これほどの力とは……」
やっと圧迫感から解放された紫翠は、落とした煙管を拾った。
「紫翠、ここは退かなきゃ大変なことになるぞ。いくら俺達でもあの力には……」
「分かっている。奏はいずれ必ずこちら側に戻ってくる。自分からな」
紫翠は何故か確信しているかのように言った。