誠-巡る時、幕末の鐘-
「俺がいいと言っているんだ。……それより宿に入ろう。明日から大変だからな」
「はいっ!」
(響を一人で来させた父親を探しだして、その面をおがまなきゃ。
……もちろん、本来の役目の方も忘れてない。
そっちはきちんと、とっとと済ませる予定だから支障はきたさないし、問題ない)
ーーーー四半刻後。
二人は運良くまだ主人が起きていた宿屋に泊まることができた。
この時から、星鈴は響に対して、この子を守らなければ……という思いにかられていた。
何故なのかは、この時の星鈴には知る方法はなかった。
ただ、見るからに、そして話してなお分かる、純粋で心優しいこの少女を妖や男共にくれてやるのは惜しい。
そう思っていただけのはずだった。