誠-巡る時、幕末の鐘-
『邪魔』
「すんません」
謝り、回れ右をした鷹に容赦なくミエが後ろから飛び付いた。
「鷹! 行くときは私も一緒よ!」
『……へぇ』
ニコリ
皆は言う、この時ほど笑顔が怖いと思ったことがないと。
「お嬢! 何かそれ言い方変! 言い直せ! ……いや、言い直さなくていい! とにかく俺から離れろ!」
「嫌! 私鷹について行くって決めたの! 私を置いていかないで!」
「鷹、あなた……式の分際でいいご身分ですね? そんなにも命を無駄にしたいんですか? そうですか。ならお望み通り殺してあげましょう」
あたりに言いようのない悲鳴がとんだ後……
「駄目だよ、エリオル。仮にも鷹はミエの式。たとえ身の程をわきまえない奴だとしてもね。だから殺してはいけない。鷹を数日間かしてくれるかな?」
「何をするんです?」
「クスクス……教育的指導だよ」
鷹はカミーユとセレイルの喧嘩の仲裁に逃げた。