誠-巡る時、幕末の鐘-



「ミエ様方、もうお帰りになられた方が……」


「そ、そうね! 翁が怒ってらっしゃるなんて何かあったんだろうし!?」




口ではそんなことを言っているが、内心、天の助けと狂喜乱舞していた。




「……そうですね。ミエ、帰ったらじっくりとお話しましょうね?」


「僕も色々と聞きたいことがたくさんあるんだ。僕の執務室に来てね?」




喜びも束の間、奈落の底へ叩き落とされていった。




「ほら、二人共いい加減にして。戻るよ?」




未だに睨み合いを続けていたカミーユとセレイルに、何かをチラ見させ、二人が顔色を変えたのを見て楽しむ魔王が一人。




「じゃあ、奏、頑張ってね! みなさん、お邪魔しました!」




来た時と同じようにいつの間にか五人はいなくなっていた。



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