誠-巡る時、幕末の鐘-
「なんていうか……お前も色々と苦労してそうだな」
土方が珍しく眉を下げ、奏に労いの言葉をかけた。
「まだまだ、三大魔王の恐ろしさはこんなもんじゃないですよ。よくこの屯所壊れなかったなって思っているぐらいですから」
奏は本当に疲れた顔をしていた。
「奏〜。子猫連れてきましたよ!」
響が子猫を腕に抱いて道場に入ってきた。
お腹いっぱいになったのだろう、子猫は響の腕の中で寝ていた。
「さて……今日の私の後をつけてきた理由を聞こうか。新八さん、平助、左之さん?」
『……あ』
今の今まで理由を考えていなかった三人。
当然奏は容赦などするはずもなく……
「三人共……木刀持って。竹刀じゃないよ?」
「奏ちゃんが自分から相手してくれるなんて羨ましいなぁ〜」
沖田の言葉に三人が思うことはただ一つ。
(ならお前と変わってやるよ!)
「ほらほら。副長助勤の名が泣くよ?」
その後、道場から三つの悲鳴が聞こえた。
近藤に今日限り道場の立ち入りを禁止された隊士達は、断末魔の叫びのようだったと語る。