誠-巡る時、幕末の鐘-



――屯所前




「……ん? 何だか屯所が騒がしいな」


「今日何かやってるんですか?」




響は首を傾げた。




「いや……あ」


「どうしたんです?」


「そういえば、昨日の巡察でどっかの藩の奴を捕縛してたんだった」


「だからですかね?」


「行ってみよう」


「はい」




二人は足早に屯所の門をくぐった。


屯所を包む空気の悪いこと、悪いこと。


庭の方から何やら聞き慣れぬ声が聞こえたので、そちらに行ってみることにした。




「ただ今戻りました〜。見てください! 世界にまたとないお菓子です!」


『……』




庭にみんなが集まっているのを発見した奏の空気を読まない発言に一同無言。




「……響、向こう行ってな」


「え? でも……」




奏はみんなが見えないように響を屯所の中に入らせた。



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