誠-巡る時、幕末の鐘-



「フン。これのどこが世界にまたとないだ? 泥まみれではないか。まぁ、お前達のような者にはこんなものが相応(ふさわ)しいな」


「……」




なおもお菓子を見続けている奏。


見当外れの優越感に浸っている男達。


奏の様子を戦々恐々としながら見ている土方達。


端から見れば、一体何がそんなに大事なのかと思うだろう。


この状況に一人だけ大いに満足している者がいた。




(あ〜あ。奏ちゃん、怒ってるな。僕より酷い事やってくれそうだから、黙っとこ)




何を隠そう、妖しい笑みを浮かべている沖田総司である。


自ら傍観者に甘んじることにしたらしい。



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