誠-巡る時、幕末の鐘-
口は災いの元
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翌朝
障子越しに朝日が差し込み、外からは雀の鳴き声が聞こえてくる。
(……ん。もう朝か)
星鈴はのそりと布団から起き出すと、そっと廊下に続く襖を開けた。
「あ、おはようございます!」
隣から元気な声がかけられる。
響だ。
彼女も丁度部屋から出てきたところだった。
しかも、着替えまできちんと済ませている。
「おはよう。早いな」
別に、星鈴が遅くまで寝ていた訳ではない。
むしろ、珍しく早く起きた方である。
何を隠そう、主の世話など必要に迫られていない限り、星鈴は朝に極端に弱い。
だから、彼女にしてみれば、自然と早く起きれただけで自分を誉めたくなるくらいだ。
「江戸でもこうでしたから。それに、やっと父を探せると思うと、なかなか寝付けなくて」
そう言って、響は苦笑を漏らした。
やはり、女一人で江戸から京まで一人旅をしてくるだけあって、本当に心配しているんだろう。
「じゃあ、とりあえずここら界隈を見て回るか」
「はいっ!」
まだ微妙に寝ぼけ眼の星鈴。
対して、響は花を咲かせたような笑みを見せた。