誠-巡る時、幕末の鐘-
口には気をつけよう
奏はしばらくした後、ユラリと立ち上がった。
目が異様な鋭さを帯びている。
「おい、奏! やめろ!」
「雷焔君!」
「……今は奏と呼ぶな」
「じゃあ。……星鈴、やめなよ」
奏の言葉に、何かを察知した沖田が言った。
星鈴とは奏が大事にしている主、ミエがつけたありがたい名だと奏は考えている。
どうやら、言って欲しかった言葉だったらしい。
奏が一瞬ニヤリと笑い、すぐに表情を戻した。
「はっ! 星鈴? 女の名のようだな。さっきの奏といいお前の名をつけた者は、お前の性別すら分からない馬鹿だったようだな」
瞬間、空気が絶対零度まで落ちたかのごとく凍り付いた。
気のせいか、肌がピリピリする。
「お前のような子供を持った親の顔が見てみたいわ。……うっ!」
「……」
……今の言葉が決定的なものになった。