誠-巡る時、幕末の鐘-



「作戦成功、かな?」


「何の事だ?」




沖田の言葉に、ろくなことはないだろと思いつつ、土方は尋ねた。




「奏ちゃん、さっき今は奏と呼ぶなって言ったじゃないですか」


『……あ』




つまり…奏を怒らせる原因を作るために、沖田が加勢したのである。


敵に回したくない二人が手を組んだ。


敵に待っているのは…可哀相過ぎる末路だ。


それまで顎(アゴ)に手をあてて考えていた山南が苦笑気味に言った。




「わざと星鈴の名を出して、相手の反応を見たってことですね?」


「そう。さすが山南さん」


「じゃあ、あいつらまんまとはまりやがったのか」


「自業自得だな」


「あぁ」


「まったくだ。愚かな」




土方達も余程腹にすえかねていたのか、誰も同情の言葉を出さない。


仏の副長である山南ですら、沖田の言葉に納得しただけである。



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